RPACommunity で開催した「RPALT vol.25? ~本気で学ぶDXとRPA~」のイベントレポートです。
目次
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はじめに
RPALT vol.25 概要
全国に支部を展開しているRPACommunityの中で本体と呼ばれる東京回。vol.25は2020年10月29日(木)にオンラインで開催。
「いちばんやさしいDX(デジタルトランスフォーメーション)の教本」著者である、ディップ株式会社の進藤さんと亀田さんにDXについてお話いただきました。
セミナー
登壇者
発表内容
RPAからはじめる、いちばんやさしいDX
DXというと、UberやAmazon等、海外の規模が大きい事例話が上がっていますが、今回「ビジネスモデル変革」という話はしません。
多くの日本の企業はRPAに取り組み始めたところです。DXに対して、誰でもできることをご紹介します。
今回のポイントは3つです。
1.いきなりDXを目指さない
2.RPAからなしくずしデジタル化しよう
3.ITで会社の強みを伸ばすのがDX
1.いきなりDXを目指さない
DXには、以下のステップがあります。
・アナログデータのデジタル化である「デジタイゼーション」
・ビジネスプロセスのデジタル化である「デジタライゼーション」
・新しい価値の創出となる「デジタルトランスフォーメーション」
まずは、RPAからはじめましょう。
3~5分の小さな業務から効率化、使うツールは無料で始められるものや月10万円以内のものにしましょう。
予算を少額で抑えられ、仕事の流れを変える必要もないため、反対勢力も現れにくいです。
次に、業務整理です。
現場には、自動化したい業務内容を把握するためのアンケート等、業務整理するツールをテンプレート化して渡し、そこで出た業務を仕訳して整理を進めます。
最後に脱ハンコ、脱紙、OA化でデジタル化を広げていきましょう。
OAしないとデジタルに進めません。自社の段階に合わせてデジタル化を始めることが大切です。
2.RPAからなしくずしデジタル化しよう
基本、社員の評価対象は「売上への貢献」です。そのため、RPAに積極的でない現場も多いです。ディップでは、社内広報より社外広報を優先し、現場が目立つことで成功体験を共有しました。
自動化や効率化を評価するよう、経営も変わらないとDXは始まりません。
現場にIT側が巡回して呼び掛け、現場に広げていく仕組みづくりにも力を入れました。しかし、RPAが進んだからといって、何でも自分たちで作ろうとするのは危険です。
RPA導入をきっかけに、あるべきシステムに変えていきましょう。
例えば、名刺の電子化であれば「sansanの名刺システム」、Excelで受注管理の自動化をしたければ「kintoneの申込みシステム」で叶います。
RPAや独自開発に拘りすぎないように注意しましょう。
既存のサービスで代替できるのであれば、そちらに置き換えましょう。
3.ITで会社の強みを伸ばすのがDX
自社の強みに着目しましょう。
「品質」「コスト」「納期」それぞれを軸に、強みを見出していくと企業価値を高めやすいです。
自社のコアだけに集中投資してシステムを作ります。ディップでは、自社の使い方だけの顧客管理システム CRMアプリを開発しました。
DXのゴールは、データで判断できる経営に変えることです。なので、システム同士をつなげた「疑似DXシステム」を目指しましょう。
DXはビジネスモデルを変えるのが目的でしょうか?
DXの事例として挙げられる企業は、RPAもビジネスモデル変革も目指していません。
顧客に提供する価値の強みを最大化するためにデジタル化しただけです。
無理やりDXしなくていい。
デジタル化の先で「DX」になることもあります。まずは実践から始めましょう。
RPAを爆進させたDX ディップの事例でご紹介
RPAに挑戦する企業が増えて、RPAの成果もハッキリ出てきました。
いくつかの壁をこえなければRPAの成功というのは見えてきません。
では、「ディップではその壁をどう乗り越えたのか?」についてご紹介します。
RPAには「広がらない」「作れない」「評価されない」という大きく3つの課題があります。
RPAが広がらない
当初、推進チームに依頼が集中し、現場が自律してませんでした。
そこで、メンバー選抜PJにして現場を巻き込み、各組織が自発して参加したくなる仕組みを用意しました。
他にも、RPA講座「RPA Academy」を全社員に実施、RPAが作れる動画等を公開。ラインナップもVBAからRPAまで、幅広く用意しています。
他部署の事例が見えるように、社内のRPA情報を集めたナレッジサイトも作成しました。
このように、現場が自分たちだけで推進できるような仕掛けを作りました。
RPAで構築が難しい
メンバーには、すぐに開発から着手しないことを徹底させています。
「工数の多い業務」「重要なデータを扱う業務」という2つが判断軸です。
既存の業務に対して、「無くす」「減らす」「変える」を徹底。
これで大体は、RPAを作らなくてすみます。
RPAだけで解決できないことも多いため、複数ツールを組み合わせる
「ハイブリッドRPA」という方法をとっています。
現場開発でスケールすることが目的なので、現場でも使いこなせる簡単なツールを採用。
SaaSやノーコード開発を中心に手段を考え、作る前には「本当に課題解決になるか」を考えています。
早く作れて効果が出ればRPAでなくても良いと割り切り、色々と組み合わせる柔軟性が強みとなりました。
経営層が評価してくれない
PLインパクトがないと経営層はなかなか認めてくれません。
そのため、現場で先にトレンドを作り良いものだと伝えることにしました。
業務仕分けの結果、RPAとデジタル化を同時進行。しかし、当初導入したCRMとSFAは、利用してもらえませんでした。
そこで、徹底的な現場主義にシフトチェンジ。
1人の営業マンに約3か月間密着して、「レコリン」と呼ばれるCRMアプリが誕生。
1日1時間の営業時間が作れて、営業がとても楽になったと好評でした。
1人の営業マンの為に作ったこのアプリ、今では社内の営業 ほぼ全員が使用しています。
営業活動をデジタル化したことで、1日に数万件のデータが溜まるようになりました。
営業活動のKPIを完全網羅でき、正確な数値と予測ができるという効果にも繋がりました。
また現場で信頼を得たことで、上からも認めてもらえました。
実はこれが、RPA展開のヒントです。
「現場を握ること」これが最も大切です。
RPAを爆進させるDXの使い方
ディップは2年で「20万時間/年」の工数削減を実現しており、約10万時間は現場主導によるリーダーの成果です。現場のやる気が高いので、どんどん削減効果が増えています。
RPAと一緒に進めていた「レコリン」が成功しているため、現場からRPAへの期待も大きいのです。
人が使いやすいプロダクトは、すべてうまくいきます。
現場に寄り添ったRPAとデジタル化を推進していった結果、組織と人を変えることができました。
RPAもDXも成功する共通のテーマは「ユーザーになりきろう」。
「現場を主役にすること」が大切です。
まとめ
最後はみんなで集合写真
RPALT本体 vol.25にご参加いただいた皆さま、ご参加ありがとうございました。
イラレコ支部の品川さんがオンラインで描いてくれた「オンラインイラレコ」をご紹介します。
イベント時の参加者の感想や意見が分かるツイートまとめも注目です。
イベントの様子はYouTubeにもアップされています。今後もコミュニティの様子を見たい、イベントの復習がしたいという方は、是非チャンネル登録もよろしくお願いします!
ライター Ayy 編集 Mitz
株式会社コミュカルが運営するコミュニティ・イベントマガジンです。
色々なコミュニティの魅力やイベントのレポートを届けていきます。
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