日本最大のRPAユーザー主体コミュニティ「RPACommunity 」の供養支部 第2回イベントレポートです 。
はじめに
RPALT 供養支部 vol.2 概要
RPACommunity 供養支部とは、RPA開発・運用にまつわる失敗にフォーカスし、その時の悔しい想いや悲しい想いを共有し、成仏させようといったイベントです。2020年8月26日(金)にオンラインで開催しました。
開会の辞(オープニング)では、施主 フクイさんより「この世に出ることが叶わなかったロボット、不遇の生を生きたロボットなど、彼らの無念、悲しみをしっかりと受け止めて来世につなげていくように是非祈ってあげてください。」と挨拶がありました。
参加者から回答いただいた事前アンケート結果も共有。「悔いがない」「そんなことは気にしない」と前向きにRPAと向き合っている方が多い結果でした。
IT住職によるはじめの法話は、小路竜嗣さんより。
IT界の巨人であるGoogleの社是にも仏教の考え方が使われていたり、実は気づかれていないだけで仏教はIT社会にぴったりな教えです。
ここで、失敗にまつわる仏教の言葉を紹介します。
ダライ・ラマ14世「何事かに九回失敗したとしても、それでも、九回の結果を生んだではないか」
善立寺(小路さんのお寺)先代「良く生きるとは 今は良くないと気づくことだ」
今日は、存分に失敗をお話ください。
供養支部は、コスプレではなく本物の法師のお二方 小路竜嗣さん、てらリーマン慈永さんと供養支部に情熱をかけるフクイさんの3名で構成された支部です。
参加者ライトニングトーク
登壇者
・たまいさん/RPA亡者と行く地獄めぐり
・浅利さん/使えない使われない
・廣瀬さん/怨霊と化したロボ達
・発明家小栗さん/RPAを成仏させ製品企画に輪廻転生させる
・えっちゃん/チーム内競争で敗れ、発表できなかったRPAを見て下さい。
発表内容
供養支部では、LTを「弔辞」として「失敗して悔しかった経験、悲しかった経験」を発表していただきます。LT後は、現役の住職お2人の有難い法話によって辛かった経験に成仏していただくといった流れになっています。
たまいさんの弔辞「RPA亡者と行く地獄めぐり」
「約50万円」これは、先行投資として個人でRPAの勉強に費やした金額です。先行投資自体は悪いことではないのですが、自分の性格も考慮して計画的に勉強するべきだったと後悔しています。結果として、RPAスキルを習得できたし転職も成功しました。しかし、振り返ると「約25万円」は無駄遣いだったと感じています。失ったお金に対する執着、資格に固執していた気持ち、予定未達に対するイライラ…。RPAスキル習得で生まれた無念な想いを成仏させたいです。
法話:慈永さん 根本は煩悩なんですよね。ひとつ、このモヤモヤを葬り去る方法としてはアウトプットすることです。使った金額の分、アウトプットして自分に戻す。そうして本当の力にしてください。
浅利さんの弔辞「使えない、使われない」
「使えない」それは、PDFからのデータ取得業務のロボット化です。PDFファイルの見た目と異なる順番で取得したり関係のない箇所で改行やタブが入ったりしてしまいます。ツールも日々進化しているので、今はこの辺りをカバーしているツールがあるかもしれませんが、当時は難しく、挫折してしまいました。
「使われない」RPAツールの乗り換えで使われなくなったロボット達です。どうか、これらの無念を成仏してください。
法話:小路さん 日本では使われなくなったものを「付喪神」として供養する文化があります。デジタル化が進むことで使われなくなるものは必ずあるため、これはとても大切な供養だと思いました。このロボットたちの想いをのせて、より良いロボットや自身のスキルアップへと繋げていってください。
廣瀬さんの弔辞「怨霊と化したロボ達」
とある案件にて、要件定義でのヌケがあり開発に失敗。大きく修正し納品しましたが、当初の計画よりも工数が増えて怨霊化してしまいました。業務改善されるどころか、クライアントの残業は爆増。このロボをベースに別のロボをクライアント自身で開発し、怨霊ロボだらけに。更にそれ以降、ベンダーへのロボ開発も止めてしまい、手出しできない幽霊屋敷となってしまいました。その他「契約なく開発してしまった話」の二本立てで、教訓もあった弔辞でした。
法話:慈永さん 「呪われたコーヒーカップのセットを皆に配った」みたいな怖さを感じました。要件定義は終わったと思っていると、必ずヌケが発生するといった都市伝説があります。その時は「自分も同じことをやっていたかもしれない」「お互い様です」という気持ちで乗り越えていただければと思います。
小栗さんの弔辞「RPAを成仏させ製品企画に輪廻転生させる」
「開発費用は半額。売れるたびに追加で支払いをする」という条件でRPAアプリ「NexBot」の開発を受託。しかし、RPAを売るのは難しいとのことで、いつの間にか音沙汰なしに…。「NexBotよ、お前の死は無駄にしない!」と、供養支部発の「輪廻転生プラン」案を考えてみました。上手くいった機能を切り出してサービスやアプリにしたり、RPAの制作プロセスを企画開発トレーニングを兼ねた教育サービスを提供できるのではないかと考えました。こちらは、あくまで案ですが、どこかでこの無念を活用できたらいいなと願っています。
法話:小路さん 刀やハサミなどの職人さん達には、毎年道具に対して感謝するという習わしがあります。デジタルの世界になると、この習慣がありません。自分がかけた努力や労力を消化する場所として、この供養支部を心の拠り所になればと思っています。六道輪廻の話が出ましたが、失敗かどうかはその人が決めることです。つまずいても立ち上がって次に生かしてください。
えっちゃんの弔辞「チーム内競争で敗れ、発表できなかったRPAを見て下さい。」
あるRPAツールのハッカソンで発表できなかったプレゼンをここで披露&成仏させてください。withコロナ時代になってライブに行けず、配信で音楽を楽しみたいと思ったとき、告知される媒体がバラバラで情報をどこで拾ってくればよいのか悩まされることはありませんか。WEBスクレイピングを活用し、Googleカレンダーに情報を記入することで、ライブ情報を見逃しにくくするものを作ってみました。業務で作ったロボットやプロジェクトではないですが、ここでプレゼンを成仏させて下さい。
法話:慈永さん コンサートだけに留まらず、Zoomのオンラインセミナーやイベントなど自分に必要な情報を拾ってくるということで使い道が沢山あると思いました。技術が進歩する中で、また再度トライして欲しいと思います。
IT住職 最後の法話はてらリーマン 慈永さんより。
そもそも供養とは「亡くなる方とのご縁から死に触れるということ」です。ここでは、ロボットやプロジェクト等を言います。この「死」に触れるとは、「生」に触れるということです。
ここで改めてRPAの生き様、歴史について遡ってみます。元々のRPAの役割はバラバラのシステムをつなぐツールでした。今では、この大量データ時代のインフラとして欠かせないものになってきています。
RPA全体から感じる無念は、「4~5年前から変わらない部分的な自動化」にあるのではないかと感じています。
自動化が進まないという悩みには、細やかなプロセスの自動化にまで手が回らない「システム主導」や組織横断型の大規模なプロセスの自動化に着手できない「現場主導」の2つがあります。RPAは、これまでの体制ややり方を見直す時期に差し掛かっているのではないでしょうか。
DX検討の中で「出口戦略」をもったRPA活用をしていくことが今後のRPAの未来に求められていると思います。
まとめ
最後はみんなで集合写真
RPALT供養支部 vol.2 にご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
こちらは、RPACommunity イラレコ支部の品川さんが描いてくれたイラレコです。
イベントの様子はYouTubeにもアップされています。是非、高評価とチャンネル登録もよろしくお願いします。
株式会社コミュカルが運営するコミュニティ・イベントマガジンです。
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