こんにちは。コミュニティプロデューサーMitz&コミュニティマネージャー Ayyです。
7月22日(月)に開催された「第1回 Blue Prism ユーザー分科会」の参加レポートです。
このイベントは、タイトルの通りBlue Prismさんのユーザー会です。
各テーマごとに普段Blue Prismをお使いのユーザー同士で分科会を形成し、ディスカッションを行う。その結果を全体で発表し合うことでビジネス成果を実現するためのヒントを見出すイベントになっています。
BluePrism ユーザー分科会
ユーザー分科会の様子
目次
目次
はじめに
最高顧客責任者(CCO) ジョン・E・ターコフさん
Blue Prism最高顧客責任者(CCO)のジョン・E・ターコフさんよりはじめの挨拶。社内では「ジェット」という愛称で呼ばれているそうです。
今回のイベントは科目別にユーザー同士がディスカッションするという日本初の試み。コミュニティの管理も担当されているジェットさんは、日本にもこのようなBlue Prismのコミュニティを開催できたことを嬉しく思っているとのこと。
その他にも本社のあるイギリスでの事例や、AIラボの紹介など貴重なお話をしていただきました。
RPACommunityでは何度もご登壇いただいているBlue Prism市川さんより、ユーザー会イベントの趣旨説明。
各チームに分かれディスカッションを行い、その後全体発表という流れのご説明。1時間半ディスカッションの時間を設けているため、自由にコミュニケーションをとりましょう。なるべく色々な意見を集約できるようにオープンなコミュニケーションを心掛けてくださいとのことでした。
各分科会の成果発表
6つのテーマに分かれた各分科会。1時間半のディスカッションを行った結果発表。
こちらでは、発表内容のまとめと、私たちが感じた気づきやポイントをお伝えいたします。
BluePrismさんからの修正は、ほとんどなし、ユーザー会ならではの「生の声」です。
こちらで見たこと、聞いたことをありのままにお伝えいたしますので、会場の雰囲気を感じていただきたいです。
テーマ1「Blue Prism導入の総括と今後の展望」
課題 スライド
まとめ スライド
こちらのチームでは「Blue Prism導入の総括と今後の展望」というテーマで、下記内容があがりました。
<ディスカッションのメモ>
・要件定義はきっちり作っているのか?
簡単なものだと、きちんと作っていない。
本当に人手がカバーできるのか?エラーが出たら意味ないし
監査もあるし作らなきゃ
・ドキュメンテーション化はどこまでやっていますか?
異動が多い会社でも活用できるテンプレートがあると嬉しい。BluePrismさん用意して!
・一通り開発して工数削減はできたが、どうやって次のステップへの追加費用を捻出させるのか?という課題も…。
<Mitz&Ayyのポイント>
ユーザー様からのリアルな声としてはこんなものもありました。
・BP社の資料、いろいろイケてない…。
・日本語になっていないモノ多いよね…。
これらを整理した「まとめ」と「課題」のスライドが上の画像になります。最後は「Blue Prism、No1になって!」というユーザー会だからこその「熱い期待の声」も聞けた発表でした。
テーマ2「Blue Prism開発者の教育」
ディスカッション内容
こちらのチームは「BluePrism開発者の教育」について。
<ディスカッションのメモ>
「RPAは簡単に作れる!」と言われることがありますが、BluePrismは他ツールと比べても作るのが難しいと感じています。一方で、ITのバックグラウンドがない人でも開発している例もあります。ディスカッションの中で「お金で経験(作る事ができるという経験)を買いたい」という意見も出ており、同じ悩みをもつ人がいるということに気づけたことも励みとなりました。
・受講者のモチベーションをどうやって上げるのか?
実業務を自動化して、そのロボットが会社の中で活躍しているという実体験が必要
ロボットの動くイメージが大切なので、デバッグをまずたくさん行って動かす経験値を上げていく
・BluePrismの開発者になる人の下地はどういうスキルセットがいる?
SEの経験がある人であったり、それなりにITバックグラウンドがある人の方がスムーズにいく
でも、元々IT畑じゃないRPAの技術者例もあり
・レビューの負担が大きい
お願いしたものと成果物が、予想と違う突拍子もないものが返ってくることも多々…
・チームから「BluePrismに物申す!」
提供されているドキュメントが日本人に合っていない!
どのレベル感のドキュメントになっているのか?そもそもITが分かる人じゃないと読み取りづらい…。
<Mitz&Ayyのポイント>
「レビューが大変なのでBluePrismにレビュアーになってほしい!」という声も。そしてその声に対してBlue Prism側から「ぜひ、やらせてください!」との回答も。
ドキュメントといっても多様なニーズがあるので、全てを引き受けることは難しいですが、ご相談いただきプロフェッショナルサービスをうまく活用してくださいとのことでした。
テーマ3「リアルタイム起動 Mail TriggerでBlue Prismのschedule実行について」
ディスカッション内容
要望
こちらのチームは「リアルタイム起動 Mail TriggerでBlue Prismのschedule実行について」という少しテクニカルなテーマについて。
<ディスカッションのメモ>
スケジューラ以外の方法で起動させたいという要望を叶える方法として、次のような案があがりました。
・アイコンを作り、実行したいユーザー本人に動かしてもらうという方法。ただ、複数のユーザーでデスクトップを取り合いになってしまうなどの課題もあり。
・メールを受ける専用ユーザーを作り、ジョブを実行したい人がルールに則ってメール送信。そのメールによって、実行させるという案も。
その他お話の中では「SQL文をなげて、データベースの情報をGETする」など、がっつり技術的な内容も出ていました。
<Mitz&Ayyのポイント>
中でも「スケジューリングが自由自在にならない」という悩みがネックになっている印象を受けました。
例えば「第3水曜日に実行したい」や「月曜ただし、非営業日には実行しない」というようなカレンダー設定が現在は難しいとのこと。ある仕事は第3水曜日、ある仕事は第4金曜日と、カレンダーに一つ一つ設定する必要があり、それでは大変骨の折れる作業になってしまいます。そこで、現在の解決策として「外側にJP1などのスケジュールソフトを用意して、スケジューラでバッチ起動する」ことが最適ではないか、という結論に至ったそうです。
まとめのスライドではBluePrismに対する要望も。こちらはBluePrismの機能や技術に対する内容となっていました。
そして、Blue Prism市川さんからのコメントとして、稼働日の要望は世界共通ではなく、日本のお客さんからの要望が多いとの情報も。今後カレンダーの柔軟性についても検討しますとのことでした。
テーマ4「SAPの自動化」
現状の問題点
導入手順
こちらのチームはSAPの自動化について。
<ディスカッションのメモ>
【SAP-modeでの画面取得の課題】
SAPのABAP画面は、オブジェクトの作成時にSAP-modeを利用して開発を進めます。1つ目、2つ目と処理は出来上がりますが、進めるうちに以下のような課題が出てきます。
①ログイン、終了などの共通部分が多い
→毎回作るのは多重開発になってしまい、大変。
②クレデンシャル機能を使うと、開発環境から本番環境へ移行時に修正が必要になる
→本番環境への移行時に設定変更とテストも必要。(作業量が多い!)
③トランザクション毎にオブジェクトを作成していたら、オブジェクトが増え続ける
→増加の一途で、色々問題ありそう。運用面を考えると面倒になりそう。
【解決策】
①オブジェクトの「SAP共通」を作成し、部品化。例えば、SAP logon PAD起動、各環境起動、ログインなどなど。
②クレデンシャル機能については、サンプルプロセスを作成したり、クレデンシャル自身の説明から明記し資料化する。
③EUCの為、先行開発者と異なる部署で同一トランザクションを利用する場合が発生する。しかし、オブジェクトの修正を行うと先行開発者の処理が動かなくなりそう。ルールを決めて開発する必要がある。SAP画面が変わる可能性もあるので、完璧なオブジェクトはできない…。
<Mitz&Ayyのポイント>
以上のようにSAP(基幹システム)での自動化について、技術寄りな発表でした。
テーマ5「バージョンアップにおける勘所」
バージョンアップのプロセス
UAT
こちらのチームは、バージョンアップにおける勘所について。
<ディスカッションのメモ>
【バージョンアップのプロセス】
①適用判断
・バージョンアップすべきかどうかの判断基準、現行とバージョンアップ後が大きく変更してしまうことへの懸念などがある。
②環境構築
・止まったときのリスクを考え、2つの環境(開発環境と本番環境)で並行稼働する。こちらの方法が、一番安全だという結論に。
③技術チェック導入
・自分たちで体当たりで確認していかなければいけない。
④UAT
・RPA担当者は気にするところだが、バージョンアップについてエンドユーザーに知らせる必要性はあるのか?
・トラブル防止のためにも、ユーザーを巻き込んで、通知することが一番良いという結論に至った。
⑤リリース
リリース後のトラブル対応や問い合わせを防ぐためにも、
・ドキュメントの有無でサポートをやる/やらない等、線引きをしっかりしておく。
・ユーザーサイドにもリテラシー教育を含めた通知、ルール、線引きをしておく必要がある。
【Blue Prismへのリクエスト】
・一番頼りとなるのは、やはりBlue Prismの問い合わせ窓口。Blue Prismからの情報提供ももっと増やしてほしい!
・バージョンアップに関するケーススタディなどを共有してほしい!
テーマ6「E/U(エンドユーザー)開発における課題と解決手法」
ディスカッション内容
IDをアイドルの名前にしてみる!
こちらのチームはエンドユーザー開発について。
<ディスカッションのメモ>
①「RPA技術力」
・Nonプログラミングとよく言われるけれど、技術は必要で、すぐにできるというわけではない。
・そもそもExcelもちゃんと触れなかったり、業務への理解もぼんやりしている人だとRPAの作成も手こずってしまうことが多い。
こちらのチームでは、ある程度の業務コンサル能力がある人が適しているという意見で一致したそうです。
②「モチベーション」
・ロボットを作成してもあまり評価されない…(沢山作っても給料あがらない、昇給するわけでもない…)
・RPAという技術そのものに対する物足りなさ(一言でいうと、「俺ならRubyで書くけどね問題」)
③「ツールコンテンツ」
・簡単に作って動く「Easyモード」が欲しい
・業務に基づいたOJTのようなトレーニングコンテンツが欲しい
【解決策】
・ファンを増やす(モチベーションを上げる!)
・RPA技術力がある人はやりたいのに、別のやるべき仕事があり時間がない。
・RPA技術者のスキル標準(どんなスキルを持っていて、それがどう評価されるのか明確になると嬉しい)
・パートナーとの関わり方(全て自社でやる必要はないのではないか?)
<Mitz&Ayyのポイント>
最後に余談で面白かったのが、発表者の社内ではロボットの名前を全部アイドル(日向坂46)のメンバー名にしているそうです。そうすることで、「ほのかちゃん(ロボットの名前)、今日も正常稼働しているね」のような会話が生まれ、日々のモチベーションに繋がっているということでした。
所感
今回、RPACommunityで何度もご登壇いただいているという関係もあってユーザー会に潜入させてもらいました。普段はLT中心のコミュニティイベントを開催している私たちにとって、グループに分かれてのワークショップという形式はとても新鮮で学びにもなりました。
同じツールを利用しているユーザー同士だからこそ活発な議論も生まれ、皆さん本当に積極的に取り組まれており、またそれに応えるBlue Prism社の方々の手厚いサポート体制も印象的なイベントでした。
そしてレポートの最後は、Blue Prism社よりいただいたメッセージです。
Blue Prism からのメッセージ
元々、日本のBlue Prismユーザー会は、ユーザー(お客様)が登壇して、事例発表を行う形式でした。
ただ、近年は
「もっと双方向のコミュニケーションをしたい、ユーザー同士でディスカッションしたい!」
・・・という要望が増えてきたため、このようなテーマごとのディスカッション&発表という形式を導入しました。
お客様には、自由な発言をお願いしておりますので、ときには厳しいご指摘もいただきます。ただ、厳しい指摘をいただく際は、必ず熱い応援、エールも併せて頂戴します。
お客様からいただいたご意見は、すべてくまなくチェックしております。既にかなりのご要望は、誤解を解いていただいたり、対応を完了しています。残りの事項についても、水面下では対応を開始しているものもあります。時期が来れば真っ先にお伝えしようとしております。
我々は謙虚にお客様の声を受け止め、お客様の成功に寄り添っていきたいと考えており、こういった取り組みを続けていきたいと考えています。
(Blue Prism エバンジェリスト 市川 義規)
株式会社コミュカルが運営するコミュニティ・イベントマガジンです。
色々なコミュニティの魅力やイベントのレポートを届けていきます。
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